写真展「footsteps」について

「footsteps」は、私の初めての写真展です。

2016年に友人の勧めで一人北欧を訪れ、自然とカメラを向けたくなる瞬間が多いことに気がつきました。何だかとてもしっくりくる感覚で。当時は思いつきませんでしたが、もしかしたら幼い頃に繰り返し観た映画「やかまし村の子どもたち」の中の光景が、記憶のどこかに残っていたのかもしれないと今は思っています。

2018年、当時の勤務先で写真の課題があり対象を探している時に、代々木公園のベンチで外国人女性が一人とても寛いでいるように見えたその姿に心惹かれ、話しかけて撮影させてもらいました。写真を送ったところ御礼にとお茶に誘ってくれました、彼女はデンマーク人でした。2〜3時間共に過ごし、なんとなくだけど確かな、大きな希望のようなものに対峙した感覚を持ち帰りました。

その感覚を頼りにデンマークでの生活を計画し、2020年のコロナウイルス流行の真っ最中、タイミングが良かったのか学生ビザが取れ、フォルケホイスコーレ(全寮制の学校)に留学します。彼らの飾り気のない生活の中で生まれる美しい瞬間の数々を目にしました。もちろん慣れないこと、わからないことが多々あった上で、最終的に今までになく心がほどかれたような状態になった半年間でした。

2022年、友人から手編みのスカーフが届きました。その後また別の友人が東京の私の家に泊まりにきてくれ、目の前に爽やかで温かな風が通り抜けました。何だかたまに、ぽつ、ぽつとデンマークの風が吹くなというご縁を感じると共に、何か動くエネルギーをもらっています。そうやって無理やりではなく、自然と動けた時に目の前に広がった景色を見て、私は写真を撮ることができています。

最初の出会いから今まで、この人たちは日々、何を見、何を話し、何を感じ暮らしているのだろうか。そんなことがずっと気になり続けています。


その興味を共有したいという思いで個展を開催します。この夏の3ヶ月、デンマークの暮らしに飛び込み、目にした色合いと光を撮影してきました。会場に足を運んでいただければ幸いです。



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